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「都新聞」 昭和44年8月

 厳かな御代替りの当日なれど、相も変らぬお化けです。(「『都新聞』復刻版 明治44年7月~8月・第8389号~第8450号」 柏書房 1999年)

明治44年8月3日 妖怪の正体
…臺所の

屋根の邊で怪しい音がしたので行って見
ると引窗から年頃は四十二三の痩せに痩
せた男が半分身體を出して覗き込んで居
たので青くなり其の翌日早々其家を退却

し家を畳んで…

…聞いた人

の噂の數々辿つて見ると此に悲惨な物語を
聞き出した▲今年は二月春未だ寒き頃
此家に永く住み馴れた富山縣人石野安太郎
(四十一)とて東京瓦斯會社の土工が居た女房
お蔦(三十八)を大塚火藥製造所の女工に通は
せ夫婦共稼ぎで僅かに煙を立てゝ居たが安
太郎は頗るのお人好し、お蔦は打つて變
つた阿婆擦れ女、是まで亭主を取替へた

事數知れず…

 先月観た日生劇場「笑う男」、ウルシュスの見世物一座でも背高のっぽが目立ちましたが、高女や伸上りの類とも取れるかと。高所から見下ろす構図は、幽魂表現の型の一つと言へませう。改元に因み敢えて帝紀に類例を求めれば、齊明帝の御宇、例の笠を被った鬼にも顕らか。

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