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「萬朝報」 明治44年

明治44年7月25日 お化け長屋(十)貞節な妻が心尽くしの看病

 「明治期怪異妖怪記事資料集成」補遺、「お化け長屋」。十回目にして漸う「お化け」が登場します。
 記事冒頭から。

  ▽貞節な妻が心盡の看病▽
自分の命より大事に思ふ夫の病氣が
不治惡症で、永いことハないと、最後の
宣告を醫師から與へられたお俊ハ、身も
世もあられぬ思ひで泣き悲しんだ肺病ハ
忌な病氣だと聞いて居る、けれどお俊ハ
それが為に天下に愛想を盡かすやうな薄情
な女でハなかつた、日夜精根を盡して看
病に勤め、手を換へ品を換へて出來得る
限りの治療法を講じ、また店の方ハ、人
手も借りないで自分で家業を切て廻した

のである (…)  

…物淋しい、下女

の鼾が微かに次の間から聞こえる、と見
る、佛壇の前、香の煙りの淡く立籠めた
あたりに、不思議や、亡き夫(つま)の姿が影の
如くあらはれた、お俊ハ因(もと)より氣丈な
女、怖いと云ふよりハ寧ろ嬉しくて、『お
懐しい旦那樣』と立寄つて熟々(つくづく)見ると
その影ハ掻き消す如く失せて何物も殘ら

なかつた(文末)

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