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「萬朝報」 明治44年

 「明治期怪異妖怪記事資料集成」補遺「お化け長屋」、今回は二代当主の末路まで。

明治44年7月20日 お化長屋(五) 楽しい春に立ちかえる
…世の血腥くなつた

越前守正勝ハ、平和の良臣であつたかも
知れぬが、劍戟の間、生死の巷に出入し
て忠勤を擢んづる器でハなかつた、彰義
隊へハ表面だけの加入で、潜かに危険を
避けて愛妻お秀の里方に忍び、世の中の
鎭まるのを待つてゐた
  ▽大身の旗本が二階住居(ずまひ)▽
徳川将軍が政權を奉還すると共に、幕臣
も亦(ま)た四方に離散すべき運命に陥つた、家
來や奴僕にそれぞれ暇を遣はして、中に
ハ所在地へ引き込むものもあれバ、士族
の商賣に浮身を窶すものもある、九天か
ら奈落の底へ陥つたとハ實に此の事で、
『これから後何うすればいゝのだらう』と
ハ、彼等幕臣の頭を惱ます大問題であつ

た、越前守正勝も…

「……、下谷(南稻荷町)の邸宅ハ何時とハなしに人手に渡つて了つた、……、さしも大身の旗本も、明治の御代となつてハ為すべき業とてもなく、零落に零落を重ね」た挙句、「今より四年前、六十一歳を一期として此世を逝つたと云ふ」。 連載七回以降に、怪異が始まります。

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