「宇宙人が地球に舞い降りたという」(「週刊事件実話」 昭和37年)
犯罪種は早くも払底しましたので、又も浮世離れした話柄に。子供向読物でも些か知られた高松三郎の筆になる宇宙人が地球に舞い降りたという!」(「週刊事件実話」 昭和37年6月5日 絵・秋吉巒 挿絵2点・写真1点 76~9頁 日本文芸社)には、「現代の謎」と「怪奇と謎の20分間読物」の傍題が二つも、加へて「空飛ぶ円盤に招かれて食事をした女性もいる!」と派手な柱さへ。但し黎明期の記事として穏当な、且つ読ませる内容かと。冒頭で「いまから十二年前の一九四七年六月二十四日」以降の略史を概説、「同じ七月中に日本では、まず九州の鹿児島県の上空に現われ、つづいて東北地方でも見られた。」との、今日では顧みられざる一節も。本文の過半は、一九五四年に起きた宇宙人遭遇事件三件の紹介に費やされます。
最初は「小人の宇宙人と路上で大格闘」。「…一月二十八日の夜のことだった。南米のベネズエラの首都カラカス市の近くを一台のトラックが走っていた。…急な坂道にかかると前方に丸く光ったものが往来のまん中をふさいでいるのを見つけ、あわててブレーキをかけた。…、近づいてみると、それは直径三メートルほどの球体で、不思議なことに、地上から二メートルほどの空中にうかんでいるではないか。…、球体の中から小さな人間がとび出してきて、いきなり襲いかかっ」て来た。「その小人んの肩をつかむと、これはまた不思議だ」、「相手のからだはグニャグニャで、そのうえ全身に猿のような毛が生えていた。…小人はもの凄い力で」運転手「を五メートルも先に投げとばした。…ポケットからナイフを取り出し、小人の胸を目がけて突進…。ところが…、さっきはグニャグニャだと思った小人のからだは鉄のように固く、ナイフをはねかえしてしまった。…球体から、さらに二、三人の小人がとび出してきて、懐中電灯のようなもので強い光を…向けた。夜が明けてから、この怪事件を調べた警察」が「格闘した辺りに…足跡にまじって、小さな子供のような足跡が、はっきりついていた。」
「とうもろこし畑に降りた跡」は、「同じ一九五四年の秋に…フランスでは、空飛ぶ円盤と宇宙人の話でもちきりだった。なぜなら北はノルマンジー半島から南は地中海の沿岸まで」目撃事件が多発。同年「九月二十八日の午後三時ごろ…。…南西部のドロール県ヴァランス市の東方」約「十四キロほど離れたシャボワール村」では、「十八人が同時に、同じ円盤を目撃したという。」内一人の「すぐ近くに一メートルばかりの小人が立っていた…。潜水服みたいな服を着て、頭には黒いものをかぶっていた。顔かたちは人間とそっくり同じで、やさしそうな目つきで、こっちをずっと見ている。『…、もう気がてんとうして、その場で釘づけになっていたのです。…まるで案山子みたいな小人はピョンと飛ん』」で「『そばのトウモロコシ畑にはいったと見るまに、直径四メートルくらいの皿の形をした物体が、音もなく舞い上がっていきました。』」
掉尾を飾るのは「円盤に乗ったクララ夫人」。「…十二月二十七日のこと…。南アフリカのナタール地方に住む…夫人は、自宅に近い丘の上で円盤から降りてきた宇宙人と会った。…背が高く美しい金髪で、目はあかるい灰色をしていた。しかも、…『金星からやってきました』とはっきりいったという…。そして二年後の一九五六年四月七日の朝、…金星人の操縦する円盤に乗り、宇宙旅行をしてきた。」「『操縦席には色の黒い、背のひくいパイロットが乗っていましたが、口をききませんでした。…。円盤には、小さい窓が四つあり…。床についているレンズをのぞくと、下の様子もよく見』」えたと。「『テーブルの上に出された果物をごちそうになりました。それらはリンゴやバナナによく似ていましたが、地球上にあるものとは違って…、味もすばらしくおいしいものでした。』」
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